「水、お望み次第」江戸小話

江戸時代には、色々と変わった商売がありましたが、そんな江戸の人 たちも首をかしげる様な看板が、ある店にかけてありました。

《水お望み次第》

そろを見た一人の男が、店の中に入っていきました。

「ご亭主、《水お望み次第》とあるが、それはどういう意味だ?」

「はい、甘い水でも、辛い水でも、お客様のご注文の水を、何でもご用意いたします」

「何でも?本当に何でも出来るのか?」

「はい、さようで」

すると男は、意地悪そうに言いました。

「では、丸い水が欲しい。丸い水を持ってきてくれ」

「はい、すぐに」

やがて亭主は、きれいな茶碗に、水をいっぱいくんで持って来ました。

「これ亭主、これが丸い水か?」

「はい」

「これのどこが、丸いのだ?」

「はい、澄みきっております」

「何、なんじゃと?」

「澄みきった水。すなわち、すみを切った、丸い水でございます」

スミスミ

(14.12.13)