恋人よ我に帰れ6

琥珀色のビール。

アンバーエールともレッドエールとも呼ばれる上面発酵のビール。

気品があるでしょう

ボステナーの店主がタクヤに言う。

スタウトのほうが好きかな

そうですか

店主は少し残念そうな顔でタクヤに言った。

でもどうしてそんな男と関係するんでしょうね

どう見ても怪しいんでしょう

男と女だからね。まあ、ストーカーじゃないだけましなのかも

ストーカーは良くないけれど、される方も非がないわけじゃない

マスターだって、思わず優しくしちゃったこととかあるんじゃない

タクヤの言葉に店主は思い出したようにニヤリと笑う。

この店の中は別世界のはずなんですけどね

たまにわかってくれない人もいますね

タクヤ琥珀色のビールを飲んで、タバコに火をつける。

どんな女性なんでしょうね

ちょっと派手目で、気が強いんじゃないかな

でも、そんなお姉さんが引っかかります。パラノイア

引っかかったんじゃないと思う。逆に吸い寄せたんだよ

パラノイア

あの男だって黙ってすましてればいい男に見えなくもない

いますよね。外見しか見ていない女

それで金でも持っていれば

馬鹿じゃないの

カウンターの奥の方から声が聞こえる。

いらしてたんですか

タクヤが声の主のほうを向いてグラスをかかげる。

早く帰りなさい

手付はもらったんでしょう。それで十分じゃない

待ってる人がいるんだから。それに守秘義務違反

一般論ですよ

どこが

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